この記事でわかること
- 「インフォームド・コンセント」や「QOL」など、医療系小論文で問われやすい知識テーマの整理
- それぞれのテーマに対して、納得感ある意見を書くための視点や考え方
- なんとなく賛成しがちなテーマでも、自分の言葉で根拠を語れる力を身につける練習
- 実際の医療事例に基づいたワーク形式で、思考力と記述力を深めるトレーニング
医学部の小論文では、「正解のない問い」に対して、自分の考えを論理的に述べる力が問われます。
特に医療系小論文では、医療倫理や制度に関する一定の知識がないと、深い思考が難しいテーマも多く見られます。
この記事では、医学部小論文の頻出テーマの中でも、「インフォームド・コンセント」や「QOL」など医療系の知識が必要な5つのトピックを厳選してご紹介します。
前回の記事では、知識がなくても自分の経験や直感から書き出せるテーマを扱いました。
小論文にまだ慣れていない方は、まずそちらから取り組んでみるのもおすすめです。
一方で、「医学的な前提知識を踏まえた小論文の練習もしておきたい」と感じている方は、ぜひ今回紹介するテーマにチャレンジしてみてください。
この記事はこんな方におすすめです
- 医学部小論文の中でも、医療や倫理に関するテーマに強くなりたい方
- 「QOL」「インフォームド・コンセント」などの医学用語を使った記述に不安がある方
- 前回の基礎編で「自分の意見を書く練習はできた」という方
- 小論文で差がつく一歩先の視点を身につけたい方

・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中
▼目次
使い方ガイド|この教材をどう使えばよい?
本記事は、単なるテーマの羅列ではなく、「医学・医療に関する知識をふまえて、自分の頭で考える練習」をするためのワーク教材です。次のようなステップで活用してみてください。
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まずは「前提知識」を押さえる
医学部小論文では、基本的な医療知識や社会背景をふまえた議論が求められます。テーマごとに簡単な解説を掲載しているので、最初に目を通してみましょう。 -
テーマ文を読んでみましょう
本教材では、実際に出題されそうなテーマ文と、仮の主張例も紹介しています。読んだ上で、どこに論点があるのかを意識してみてください。 -
問いに向き合い、自分の直感を確認する
「あなたはどう考えるか?」という問いかけに対して、まずは自分なりの第一印象や違和感を大切にしてみましょう。 -
現場の実情や多様な視点を知る
実際の医療現場で起こりうるジレンマや、関係者の立場の違いを知ることで、自分の考えを深めるヒントになります。 -
自分の意見を150〜200字でまとめる
小論文の練習として、自分の立場や理由を短く言語化してみましょう。書くことで見えてくる論点もあります。
なお、医療に関する知識がまだ不十分だと感じる方や、そもそも小論文に慣れていない方は、前回の基礎編のワークから取り組むのがおすすめです。
この記事で扱う5つのテーマ
知識が必要なテーマの小論文|実際にやってみよう
今回取り上げるテーマは、「インフォームド・コンセント」や「トリアージ」など、現代の医療現場で実際に直面する制度や倫理の問題ばかりです。
一見すると「当然のように賛成だ」と思える内容もあるかもしれませんが、なぜそう考えたのか? その背景にある価値観や前提知識は?と問い直すことで、より深い思考につながります。
前述したとおり、このワークは前提知識 → 主張 → 疑問 → 考えるヒント → 意見の順で構成されています。
読み進めながら自分自身の立場や価値観を見つめ直し、ぜひ実際に手を動かして意見を書いてみてください。
テーマ1|インフォームド・コンセントの真意とは?患者の“納得”はどこまで必要か
【前提知識】
医療現場では、患者本人が治療内容や副作用、リスクについての説明を受けた上で同意する「インフォームド・コンセント」が重視されています。
これは、医師が治療方針を一方的に決めるのではなく、患者が自らの意思で治療を選ぶという考え方に基づいています。
かつては医師が最善と信じる治療を一方的に決める“パターナリズム”が主流でしたが、近年は医療現場全体で「患者の自己決定権」が尊重されるようになっています。
しかし、どれほど丁寧に説明しても、患者が本当にその内容を理解しているとは限りません。
また、説明時には納得していても、後から「聞いていたよりもつらい」「こんなはずじゃなかった」と感じることもあります。
例えば、次のような場面を想像してみてください。
医師は、患者に対して抗がん剤治療について説明しました。
「吐き気が出るかもしれません」「外出は控えた方がよい日もあります」といった注意点も伝えた上で、患者から同意を得ました。
しかし、治療開始後、患者は強い副作用に苦しみ、「こんなにつらいとは聞いていない」と訴えました。
「同意したとはいえ、これは本当に“納得した上”だったのか」と、周囲の家族も不安に感じています。
【主張】
医師はインフォームド・コンセントを行った以上、患者がその後に「想像と違った」と感じたとしても責任はない。
さて、この主張に対して、みなさんはどう感じたでしょうか。
「それもやむを得ない」と思う方もいれば、「でもやっぱり説明不足だったのでは」と感じる方もいるかもしれません。
小論文では、こうした直感を「なぜそう思ったのか?」と問い直し、言葉にしていくことが大切です。
例えば、以下のように思考を深掘りしていくと、考えや直感を整理しやすくなります。
【直感を深掘りしてみましょう】
- 主張に納得した → なぜそう思ったのか、自分に問いかけて言葉にしてみましょう。
- 違和感があった → どこに違和感があったのか、できるだけ具体的に言語化してみましょう。
まだうまく言葉にできないと感じた方は、より具体的な場面を想像してみてください。
例えば、高齢の患者で耳が遠かった場合、説明は十分に伝わったでしょうか?
専門用語が多くて実は十分に理解していなかったものの、気が弱くて「はい」としか言えなかったのだとしたらどうでしょうか?
逆に、説明が丁寧すぎてかえって治療に対する不安を煽ってしまうことがあるかもしれません。
例えば、「治療にはこのような副作用があります」「日常生活に支障が出るかもしれません」といった説明が丁寧であるほど、患者さんは不安に感じて治療そのものを拒否してしまう可能性があります。
その結果、治療を受けずに病気が進行してしまった場合、「もっとシンプルに説明してくれれば治療を受けたのに」と感じることがあるかもしれません。
医師としては、「丁寧に説明したつもりでも、結局どこまで理解されたのかは分からない」「かえって命を救うチャンスを失うのでは」と悩む場面もあるでしょう。
ここまで考えてみると、「自分はこう思う」という意見の輪郭が、少しずつ見えてくるのではないでしょうか。
考えるヒント:
- 説明する側とされる側の「理解のギャップ」はどうして生まれる?
- 「責任」とは誰の、どこまでを指す?
- 治療内容を細かく説明することで、患者の不安が強まることはないだろうか?
- 治療を受けなければ助かる可能性がゼロになる場合、「納得が得られないなら治療しない」でいいのか?
- 「同意」は形式的であれば良いのか、心からの納得が必要なのか?
このワークでは、必ずしも完璧な回答を目指す必要はありません。
大切なのは、「どの立場で、何を書くか」という視点を養うことです。
以下の欄に、あなたが今感じたこと・考えたことを自由に書いてみましょう。
うまく書けるかどうかにこだわりすぎず、「今あなたが感じたこと・考えたこと」をまずは自由に書いてみることが、小論文の練習の第一歩になります。
テーマ2|QOLとSOLの優先順位、どう考える?
【前提知識】
医療現場では、延命治療の方針を決める際に、QOL(Quality of Life:生活の質)とSOL(延命または生命の尊厳)のどちらを優先すべきかが、しばしば議論になります。
実は、SOLには2つの解釈があります。
1つはSpan of Life(寿命の長さ)を意味する場合。もう1つはSanctity of Life(生命の尊厳)という宗教的・倫理的な意味を指す場合です。
Span of Life(寿命の長さ)は「できるだけ長く生きること」に価値を置き、Sanctity of Life(生命の尊厳)は「人の命には絶対的な価値があり、侵してはならない」という考え方です。
SOLは文脈によりどちらの意味で使われるかが異なるため、議論の際には注意が必要です。
例えば、延命措置を行えば命は長らえるかもしれないが、本人は苦しみ続け、意思表示もできない状態が続く──このようなケースでは、延命(SOL)を優先すべきか、生活の質を重視して治療をやめるべきかという判断が迫られます。
このような終末期医療における判断の難しさについては、日本医師会の「人生の最終段階における医療・ケアに関するガイドライン」でも、患者本人の意思尊重を前提としつつ、家族や医療者との合意形成の重要性が示されています。
「少しでも長く生きていてほしい」と考える人もいれば、「苦しい状態で生かされ続けるのは本人にとって幸せなのか?」と疑問を抱く人もいます。
【主張】
命にはかけがえのない価値がある。QOLよりも、まずはSOL(生命そのもの)を守るべきだ。
この主張をどう受け止めたでしょうか。「確かに一理ある」と感じた方もいれば、「苦痛を伴ってまで延命する意味があるのか」と疑問に思った方もいるかもしれません。
では、以下のリストを参考に、思考を深めてみましょう。
【直感を深掘りしてみましょう】
- 主張に納得した → 誰の視点に共感したのか?患者本人か、医師か、家族か。その立場で何を重視したのかを考えてみましょう。
- 違和感があった → どの立場の人の気持ちが十分に考慮されていないと感じたか?その理由や背景を言語化してみましょう。
例えば、次のような場面を想像してみてください。
高齢の患者が、意識のない状態で入院しています。
本人の意向について明確な文書などはありませんが、これまでの言動として「これ以上つらい治療を望まない」と言っていた記録がカルテに残っています。
そこで医師が家族に「延命処置を続けるかどうか」を尋ねたところ、家族は「延命を希望する」との答えでした。
さて、このように患者本人と家族の意見が食い違っているような状況において、延命処置を続けるかどうかは誰が・何を根拠に判断すべきでしょうか。
考えるヒント:
- QOLとSOL、どちらを優先すべきかという基準はあるのか?
- 本人の意思が確認できない場合、誰が意思決定するのが妥当なのか?
- 延命を望む家族と、苦痛の緩和を重視する医療者の間で判断が割れたらどうする?
このテーマには、明確な「正解」があるわけではありません。
むしろ、誰の立場に立ち、どんな価値を優先するかによって、答えは変わってくるものです。
「患者本人の視点で考えたい」「家族として何を選ぶか」「医師としての責任は何か」── どんな切り口からでも構いません。
今のあなた自身の感覚や、納得感のある意見を、自分の言葉で書いてみましょう。
テーマ3|医療リソースは平等に分けるべき?(トリアージの是非)
【前提知識】
災害時や感染症のパンデミックなど、医療資源が不足する状況では、限られた命を救うために「誰を優先するか」という判断が必要になる場面があります。
このような状況で用いられるのがトリアージ(triage)という考え方です。フランス語で「選別」を意味し、医療現場では治療の緊急度や回復可能性などに基づいて優先順位を決める手法を指します。
例えば、コロナ禍ではICUのベッドや人工呼吸器が足りなくなり、高齢者や重症者よりも「助かる可能性が高い若年層」に治療を優先するべきかどうかが大きな議論を呼びました。
実際、2020〜2021年の新型コロナ感染拡大時には、厚生労働省の検討会資料においても、医療資源が逼迫した際の「命の選別」に関する方針や倫理的判断の必要性が繰り返し議論されています。
「どの命も平等」という価値観と、「できるだけ多くの命を救う」という効率性の間で、社会は難しい選択を迫られることになります。
【主張】
医療資源が限られている以上、すべての人に平等に配分することは非現実的である。
助かる可能性が高い人や、社会的役割の大きい人を優先すべきだ。
この主張を聞いて、どのように感じましたか?
「合理的で納得できる」と感じた方もいれば、「命に優劣をつけることに違和感がある」と感じた方もいるかもしれません。
では、以下の視点をもとに、自分の考えを深めてみましょう。
【直感を深掘りしてみましょう】
- 主張に納得した → 「効率よく救う」とはどういうことでしょうか?命の数を最大化すること? それとも社会的に有用な命を優先すること? どのような基準が納得感を持てるかを考えてみましょう。
- 違和感があった → 命の価値に優劣をつけることへのモヤモヤや不安は、どこから来ているでしょうか? また、「もし選ばなければ、誰も救えない」という状況では、どのような判断が可能だと思いますか?
例えば、次のような場面を想像してみましょう。
大規模な感染症の流行で、人工呼吸器の数が足りません。
医師は、若くて持病のない人を優先的に治療しようとしていますが、重症の高齢者も同じ治療を希望しています。
このようなとき、「誰に治療を施すべきか」は何を根拠に決められるべきでしょうか?
考えるヒント:
- 年齢や病状による選別は「差別」なのか、それとも合理的な判断なのか?
- 「社会的役割が大きい人を優先」とは、どんな基準で判断されるべきか?
- 医療者と家族、社会の意見が食い違った場合、最終的に誰が決めるべきか?
このテーマについても、簡単に答えを出すことはできません。
むしろ、公平性・効率性・命の尊さという複数の価値観がぶつかるからこそ、答えは一つに定まらないのです。
「自分がもし医師だったら?」「自分の家族が対象だったら?」「社会全体を見たら?」
そんな複数の視点から考えながら、今のあなた自身の考えを自由に書いてみましょう。
テーマ4|地域医療は集約か?分散か?効率と公平のジレンマ
【前提知識】
現在の日本では、医療の集約化と地域分散のバランスが大きな課題となっています。
集約化とは、高度な医療設備や専門医を都市部の大病院などに集中させることで、医療の質と効率を高める取り組みです。一方、分散型の医療体制は、どこに住んでいても一定の医療サービスを受けられるよう、地域に医療機関を配置することを目指します。
特に過疎地や離島では、医師不足や交通アクセスの問題から、「最低限の医療」さえ確保が難しい状況が生まれており、再配置の議論が活発になっています。
例えば、ある山間部の町に唯一あった病院が、「年間の利用者が少ない」「重症対応が困難」という理由で閉鎖され、代わりに近隣の都市に医療を集約する方針がとられたとします。
その結果、住民は救急搬送に1時間以上かかるようになり、「すぐに診てもらえない」という不安や不満を抱えるようになります。
一方、行政や医療側としては「限られた人員や予算で救える命を増やすためには、どうしても集約が必要」と考えています。
【主張】
医療資源が限られている以上、効率性を優先して医療の集約化を進めるべきだ。全ての地域に医療を平等に届けるのは現実的ではない。
この主張を聞いて、どのように感じたでしょうか?
「現実的な判断だ」と思うかもしれませんし、「住む場所で命の価値が変わるのか」と疑問に感じる方もいるかもしれません。
では、以下の問いを手がかりに、思考を深めてみましょう。
【直感を深掘りしてみましょう】
- 主張に納得した → どんな価値を優先したときに「集約すべき」と思いましたか?効率性でしょうか?それとも医療の質でしょうか?
- 違和感があった → 「遠隔地に住んでいるだけで不利になる」ことへの不公平感や葛藤はどこから来るのでしょう?また、集約しない場合にどのような解決策が可能かも考えてみましょう。
このテーマは、医学部の地域枠で受験する人や地域医療に関心がある人にとっては必ず押さえておきたい重要な論点です。
また、今ご自身が住んでいる場所が都市部か地方か、すなわち医療アクセスが良い地域か医療過疎地かによっても、感じ方や意見は異なるはずです。
ぜひ、自分の地域の医療環境と照らし合わせながら、自分なりの意見を言葉にしてみてください。
テーマ5|医療訴訟と医師の責任、萎縮医療をどう防ぐ?
【前提知識】
近年、医療ミスをめぐる訴訟が増加傾向にあり、医師の萎縮が深刻な問題になっています。
特に産科や救急、小児科などリスクが高く責任が重い分野では、訴訟リスクを避けるために専門医を目指す人が減っているという指摘もあります。
医療の安全と、医師が持つ治療への裁量権・判断の自由のバランスをどう取るかは、医療制度全体にかかわる大きな課題です。
例えば、脳の病巣を取り除く手術を考えてみましょう。
病巣をしっかり除去することが再発予防にはつながりますが、除去しすぎると運動麻痺や言語障害などの後遺症が残るリスクもあります。
このようなケースでは、医師によって判断が分かれます。「徹底的に取り切るべき」と考える立場もあれば、「神経を傷つけない範囲で最低限の処置にとどめるべき」という慎重な姿勢もあります。
どちらが正しいとは一概に言えませんが、「積極的に治療した医師の方が訴訟リスクが高い」という構造が、医師の判断に大きな影響を与えているのは確かです。
その結果、「訴訟を避けるために必要最低限の治療しか行わない」という萎縮医療が生まれることがあります。
【主張】
命を救うための積極的な治療においては、結果的に予後が悪くなったとしても、医師の責任を問うべきではない。
訴訟のリスクを恐れて及び腰になるよりも、積極的判断で助かる命を増やす方が大切である。
このような主張に対して、あなたは「そのとおりだ」と感じた方と感じましたか?それとも何らかの「引っ掛かり」を感じましたか?
以下の問いを手がかりに、あなたの考えを深めてみましょう。
【直感を深掘りしてみましょう】
- 主張に納得した → 訴訟リスクによって医療が委縮してしまうと、患者にどんな影響が出るでしょうか?どうすれば医師が安心して力を発揮できる環境を整えられるでしょうか?
- 違和感があった → 「積極的治療」と「単なる判断ミスや技術ミス」は、どのように見分けられるのでしょうか?本当に責任を問わなくてよいのか、不安は残りませんか?
例えば、前述で挙げた病巣の除去手術において、「神経に近い部位に踏み込んだ結果、後遺症が残ってしまった」とします。
その判断が「患者を救うために必要な挑戦だった」とする医師側の主張と、「もう少し慎重にやるべきだったのでは」という患者側の思いとがすれ違うことは十分にあり得ます。
このような場合において、「積極的治療」と「単なる技術不足や判断ミス」はどこで線引きするべきでしょうか?
ここが明確でないまま「責任を問わない」制度だけが進んでしまうと、安心して医療を受けることができなくなってしまうかもしれません。
このテーマは、産科や救急など高リスクな診療科において、特に現実味のある問題です。
医師が委縮せずに力を発揮できる環境と、患者の安心や救済のバランスをどのように取るかは非常に難しい問題です。
あなたが医師になる立場だとしたら、どこに責任の線引きを設けるのが最善だと思いますか?
あるいは患者や家族の立場から見たとき、どういった制度や説明があれば納得できると思いますか?
ぜひ、自分自身の立場や価値観と向き合いながら、納得のいく考えを言葉にしてみてください。
この記事のまとめ|前提知識+視点で「納得感ある意見」に
今回取り上げた5つのテーマには、医学的な知識や倫理的視点だけでなく、社会的な背景も深く関わっています。
例えば「終末期医療」や「トリアージ」は、かつては激しく議論されたものの、近年は制度設計やガイドラインの整備が進み、一定の社会的合意が生まれつつあります。
つまり、「なんとなく賛成」と答えてしまいやすいテーマが多いのです。
ですので、今回のワークでは「どのテーマも割と賛成寄りだった」という方が多いかもしれません。
それは、現代社会のスタンダードに自分の感覚がすでに近づいているということでもあり、小論文での視点の持ち方が洗練されてきた証拠でもあります。
一方で、多くの人が賛成しているテーマだからこそ問われるのは、「なぜそう思うのか」「どんな前提知識や価値観に基づいているか」という裏付けです。
医療系の小論文では、みんなが賛成しそうなテーマでこそ差がつきます。
他の受験生と似たような結論でも、その中身に「深さ」と「説得力」があるかどうかで評価は大きく変わります。
日々のニュースや実際の医療現場の事例に触れ、「自分だったらどう考えるか」を積み重ねておくことが、小論文での「問いを立てる力」「書く力」につながります。
また、小論文は、「自分の頭で考えたこと」を誰かに伝わる形で書くという、とても実践的なスキルです。
しかし、一人で取り組んでいると、
- 考えが浅いままで止まってしまう
- 点数につながる内容になっているか分からない
- どのようにブラッシュアップしていけばいいか分からない
といった悩みに直面することも少なくありません。
そのため、小論文の力を本気で伸ばしたいのであれば、「誰かに見てもらうこと」がとても大切です。
MEDICAL DIGでは、医学部入試を熟知した講師が、受験生一人ひとりの考え方や答案のクセに合わせて、最適な添削や指導を行っています。
今回のようなテーマで「もっと深く書けるようになりたい」と感じた方は、ぜひ一度、無料相談をご利用ください。
もっと小論文の力を付けたい方へ
MEDICAL DIGでは、医学部受験生向けの小論文個別指導・添削サポートを実施しています。
今回のワークで得た知識を実際の答案に活かしていきたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。







