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【医学部受験】志望校の選び方を解説!合格するためのポイントは?

【医学部受験】志望校の選び方を解説!合格するためのポイントは?

医学部を目指している方の中には、志望校選びで悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

この記事では、「合格しやすさ」「経済的な負担」「医師としての将来の働き方」など、様々な観点から医学部の志望校選びについて解説していきます。

医学部受験においては志望校選びが非常に重要です。
どの大学を選ぶかによって、受験の難易度だけでなく、医師としての将来にも大きな影響がありますので、ぜひご一読いただければと思います。

【執筆・監修】
医学部受験の専門家 
妻鹿潤
・16年以上1500名以上の指導実績あり
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中

【医学部受験】志望校の選び方①合格しやすさ

【医学部受験】志望校の選び方①合格しやすさ

受験生の皆さんがまず気になるのが、「合格しやすさ」だと思います。

医学部志望かつまだ志望校が決まっていない場合、一般的には、

① 家からできるだけ近い
② 学費が安い(=国公立)
③ 偏差値が身の丈に合っている
④ 倍率が高くない

などの条件で大学を探していくことになるでしょう。

このうち、「①家からできるだけ近い」については、“下宿のための費用を出せるかどうか”“頻繁に帰省したいかどうか”などの事情によって優先度が変わります。

家から近いことを優先したい場合でも、近隣に合格できそうな大学が無い場合は範囲を広げて探す必要がありますが、ひとまずは家から近い大学の中から探していく形で問題ありません。

「②学費が安い(=国公立)」については、家計の状況によってかなり優先度が変わります。
私立大学医学部の学費は6年間で2,000~4,600万円程度となりますので、家庭によっては“私立は選択肢に入れられない”という場合もあるでしょう。

ただし、私立大学医学部でも地域枠での受験により学費を安く抑えることができます。
詳しくは「1-3.【医学部受験】科目配点と問題難易度③地域枠」で解説していますので、そちらをご覧ください。

「③偏差値が身の丈に合っている」「④倍率が高くない」については、“合格しやすさ”に直結する条件となり、この章で中心的に解説していく内容となります。

偏差値も倍率も、高いか低いかを見るだけでは“合格しやすさ”を判断することはできません。
また、偏差値や倍率は“合格しやすさ”を一定表してはいるものの、それよりも遥かに大切なのは「科目の配点」と「問題の難易度」です。

そこで以下では、

① 国公立・一般前期
② 国公立・一般後期
③ 地域枠入試
④ 私立・一般入試

の4パターンに分けて、科目の配点と問題の難易度の傾向を詳しく解説していきます。

志望校選びにおいて必ず意識していただきたい内容となっていますので、ぜひご一読ください。

【医学部受験】科目配点と問題難易度①国公立・一般前期

【医学部受験】科目配点と問題難易度①国公立・一般前期

医学部志望の方の多くは、まずは国公立大学の一般前期試験での受験を検討されるのではないでしょうか。

一口に国公立大学医学部といっても、配点や出題傾向などは大学によって様々です。

できるだけ自分の得意な科目の配点が高く、対策しやすい問題が出題される大学を選ぶことが非常に重要なポイントとなりますので、以下で詳しく解説していきます。

共通テストの配点

国公立大学の一般前期試験でまず注目すべきは、共通テストの配点です。

共通テストの素点は900点で、これを各大学が設定した配点に換算していきます(=傾斜配点)。

共通テストの配点パターンは大きく2つに分かれます。
1つは、共通テストの配点をそのまま圧縮し、科目ごとの傾斜が付かないパターンです。

<例:全ての科目を同じ比率(0.5倍)で圧縮する>
全ての科目を同じ比率(0.5倍)で圧縮する

このように科目ごとに傾斜が付かないパターンは、多くの大学で採用されています。

このパターンにおいては共通テストの科目ごとの傾斜が無いため、共通テストと二次試験の比率のみ確認すれば良いでしょう。

2つ目は、科目ごとに傾斜が付くパターンです。

例えば、国語は0.25倍、理科は0.75倍、その他は0.5倍するパターン(奈良県立医科大学)や、二次試験では試験を実施しない国語のみ圧縮しないパターン(滋賀医科大学)など、大学によって様々なパターンがあります。

<例:科目ごとに圧縮率が異なる ※()は圧縮率>
科目ごとに圧縮率が異なる ※()は圧縮率

上述の例で、国語が得意かつ理科が苦手な場合を考えてみましょう。

共通テストの素点において、国語が満点(100%)、理科が100点(50%)、その他の科目は80%得点できたとします。

すると、各大学の傾斜配点に沿って換算すると、滋賀医科大学では得点率64.3%となるのに対し、奈良県立医科大学では57.1%と7%以上も差がついてしまうことが分かります。

このように傾斜が強い大学の場合は、自分の得意な科目の配点が大きいと有利になりますし、逆に苦手科目の配点が高いと不利になります。

ですので、「自分は得意科目と苦手科目の点数差が開きやすい」と感じる場合は、自分に有利な傾斜配点の大学を選ぶようにしましょう。

二次試験の科目と配点

二次試験の科目と配点

続いて、二次試験の科目と配点についてです。

試験科目は、数学・理科(2科目)・英語の3科目で各200点の計600点としている大学が最も多く、中には理科2科目を各200点とし、計800点としている大学もあります。

理科2科目を各200点とする大学の場合は、二次試験の得点の半分を理科が占めることになるため、理科が得意な受験生には非常に有利な配点となります。

また、二次試験でも国語が課される大学や、理科が1科目のみの大学、英語と数学のみの大学、理科2科目のみの大学など、特徴的な科目と配点を設定している大学もあります。

<二次試験の科目・配点に特色がある大学>

  • 国語が課される …東京大学、京都大学、山形大学 など
  • 理科が1科目のみ …奈良県立医科大学 など
  • 英語と数学のみ …旭川医科大学(前期) など
  • 理科2科目のみ …旭川医科大学(後期) など

二次試験においても共通テストの傾斜配点における考え方と同様に、自分の得意を活かして苦手をカバーできる科目と配点の大学を選ぶことが大切です。

例えば、国語が得意な場合は、二次試験でも国語が課される山形大学などを選ぶことで得点源にできますし、理科が苦手な方は理科が1科目のみの奈良県立医科大学や、理科が不要な旭川医科大学を選ぶことで苦手をカバーすることができます。

ここで紹介した以外にも、特徴的な科目設定や配点をしている大学はありますので、大手予備校などが発刊している大学の科目配点一覧などを参考にしながら自分と相性の良い大学を探していきましょう。

ただし、苦手科目を避けるために試験科目が少ない大学を選ぶことにはデメリットもあるため注意が必要です。

というのも、試験科目が少ないと一科目ごとの重みはその分大きくなります。
そのため、いずれかの科目で大きなミスをしてしまったときにリカバリーが効きづらくなるというデメリットがあります。

また、他の受験生たちも少ない科目に特化して勉強してきているため、合格最低点も上がりやすくなります。

「科目数が少なければ、受験勉強の量も少なくて済むのでは?」と考えてしまいがちですが、科目を絞ることにはデメリットがあることも理解しておきましょう。

ちなみに、上で例として挙げた奈良県立医科大学は「トリアージ式」と呼ばれる非常に特徴的な試験形式を採用しています。

トリアージ式とは、科目ごとの試験時間が決まっておらず、数学・理科・英語の問題が一斉に配られて、それらを3時間の試験時間内に自分で時間配分しながら解くというものになります。

このようなトリアージ式は奈良県立医科大学のほか、防衛医科大学校でも取り入れられています。

二次試験の問題難易度

二次試験の問題難易度

国公立の二次試験においては、配点だけでなく問題の難易度にも注目することが大切です。

二次試験の問題の難易度は、

① 他学部と共通の問題が出題される場合
② 医学部独自の問題が出題される場合
③ 医学部単科大学である場合

の3つで大まかな傾向に分けることができます。

①他学部と共通の問題が出題される場合

まず、「①他学部と共通の問題が出される場合」です。

多くの国公立大学はこのパターンに当てはまりますが、問題の難易度が全体的に高い旧帝大(※)と、それほど問題の難易度が高くない旧帝大以外の地方大学では目標点数が異なってくるため注意しましょう。

※旧帝大…東京大学、京都大学、東北大学、九州大学、北海道大学、大阪大学、名古屋大学

東京大学や京都大学を始めとする旧帝大では、共通問題と言えども難易度が非常に高く、医学部志望の受験生であっても苦戦する問題が多数出題されます。

そのため、他学部と医学部との得点差が開きづらく、他学部より2割程度高い点を目指すようなイメージで対策を進めると良いでしょう。

受験対策の方法も他学部を志望する場合と変わりなく、基礎を着実に固めつつ、最難関大学向けの問題演習に取り組むというオーソドックスな進め方となります。

一方、旧帝大以外の地方大学の場合は、問題の難易度が旧帝大と比べて低くなります。
そのため、医学部と他学部とで得点差が大きく開くケースが多くなっています。

実際に、地方大学の医学部における平均得点率は8割を超えることも少なくありません。

したがって、合格するためには「何問解けるか?」ではなく「何問間違えないか?」といったレベルで勝負することになります。

つまり、地方大学の医学部に合格するためには、「それほど難しくない問題を確実に解く力」を身につけなければならず、そのためにはその大学に合った難易度(応用~発展レベル)の問題集を中心に取り組む必要があります。

逆に言えば、旧帝大医学部を目指す場合に必要となる「東大・京大向け」「超難関レベル」の問題に取り組む必要性は低いため注意しましょう。

②医学部独自の問題が出される場合

医学部独自の問題が出される場合においては、全ての問題が医学部独自である場合のほか、「数学だけ独自問題」「数学の最後の大問だけ独自問題」といったように、一部の問題だけが独自問題となっている場合もあります。

いずれにせよ、独自問題は他学部の問題と比べて難易度が高くなっています。

そのため、合格者の得点率が5割程度に留まることも多く、「全然解けなかった」という体感であったとしても、諦めずに他の問題や科目で挽回していくことが大切です。

特に、独自問題は数学で取り入れられることが多い上に、数学を最初の試験科目としている大学も多いです。

そのため、試験当日にいきなり数学で難しい問題が出題され、「2~3割しか解けなった」とショックを受ける受験生も少なくありません。

ですが、自分にとって難しい問題は他の受験生にとっても難しい問題ですので、それほど落ち込む必要はありません。
また、合格者の得点率が5割だとすると、たとえ数学で3割しか取れていなかったとしても、残りの科目で挽回することは十分可能です。

その後に課される試験が共通問題である場合は、独自問題よりも確実に難易度は下がりますので、最後まであきらめず、気持ちを強く持って試験に挑むようにしましょう。

③医学部単科大学である場合

医学部単科大学とは、医学部・看護学部・薬学部といった医療関係の学部しか設置されていない大学のことで、○○医科大学といった名称である場合がほとんどです。

このような大学においては、医学部の教授たちだけで問題作成を行っていることもあってか、クセの強い問題が揃っている場合が非常に多くなっています。

具体的には、

I. 計算量が膨大である
II. 大学数学の内容が出題される
III. 問題文が非常に長い
IV. 問題文から条件が読み取りづらい

といった特徴が挙げられます。

例えば、単純な微分の問題でも、計算の途中で解の公式を使わなければならないケース(I.計算量が膨大である)や、細胞膜の内外の電位差の説明からコンデンサーの電位の問題が展開される(III.問題文が非常に長い)といったケースが過去にありました。

いわゆる“良問”とは呼びづらい問題であることも多いのですが、対策としては一般的な問題演習をきちんとこなし、まずはしっかりと基礎的な学力を身に付けることが大切です。
その上で過去問にも取り組み、その大学の出題のクセや傾向などを掴んでいくと良いでしょう。

医学部単科大学の問題は、一見すると「これまで見たことのない問題だ!」と焦ってしまうようなものが多いです。

ですが、基礎的な学力が身に付いていれば、その問題で何を問われているのかを理解し、その場で解法を見つけていくことができます。

また、大学数学など習っていない範囲の出題についても、たくさん問題演習に取り組んでいれば、「これは解けない問題だ」という判断も付くようになります。

とはいえ、どうしても初見の問題を解くのが苦手であったり、試験本番で焦ったりしてしまうことが多い人は、医学部単科大学は避けた方が無難と言えるでしょう。

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【医学部受験】科目配点と問題難易度②国公立・一般後期

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国公立の後期試験は、募集定員が減少傾向にあります。

その理由としては、国の方針において「地域枠」での受験を推進しており、後期試験の募集人数を削減して地域枠に振り替えるケースが非常に増えていることが挙げられます。

したがって、後期試験での合格は非常に狭き門となるのですが、とはいえ全く見込みが無いものではありません。

というのも、後期試験は「共通テスト+面接・小論文」のように独自の学科試験が課されないパターンと、「共通テスト+学科試験+面接・小論文」のように前期試験と同様、独自の学科試験が課されるパターンがあります。

共通テストの点数は非常に良かったにもかかわらず、二次試験で大きくミスをしてしまったような場合は、前者の「共通テスト+面接・小論文」の形の試験で挽回のチャンスを狙うことができます。

面接や小論文が合否にどこまで影響するかはわかりませんが、共通テストよりも面接・小論文の配点が低かったり、もしくは「配点なし」「段階評価」となったりしている大学の場合は、面接や小論文をそれほど重視していないと考えられます。

そのため、共通テストでしっかり得点できている受験生であれば、合格の可能性もかなり高くなると考えられますので、共通テストで点は取れたものの二次試験でつまずいてしまった場合は、諦めず後期試験にも出願してみると良いでしょう。

なお、後期でも学科試験を課す医学部の場合は、その大学よりも難易度の高い大学を第一志望としていた受験生たちが集まるため、かなりの激戦となります。

とはいえ出願しなければ可能性はゼロですので、粘り強くチャレンジするのも良いでしょう。

ただし、合格の可能性はかなり低いことを覚悟し、合格できなかったときにどうするのか(浪人するのか、第二志望の大学に進学するのか等)についても気持ちの整理を進めておきましょう。

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【医学部受験】科目配点と問題難易度③地域枠

【医学部受験】科目配点と問題難易度③地域枠

志望校選びを考える際に、選択肢として「地域枠」を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか?

地域枠とは、医学部卒業後9年間、指定された地域で医師として勤務することを条件に、返還不要の奨学金が受けられる制度です。
制度が始まった当初は国公立が中心でしたが、近年では私立でも地域枠を導入している医学部が増えてきています

医学部6年間でかかる学費は、国公立で400万円程度、私立では2,000~4,600万円程度とされています。

地域枠で受験すれば、これらが無料(場合によっては、下宿費用などを想定したプラスαの支援が受けられる場合もあります)になるため、非常に魅力的に見えるかもしれません。

さらに、「医学部地域枠は定員割れしている」という報道も一部であったため、“地域枠=入りやすい”というイメージを持っている方もいるかもしれません。

ですが、地域枠で定員割れしているのは入学後に地域枠を選ぶ「手挙げ方式」がほとんどであり、出願時に地域枠を選ぶ「別枠方式」では定員はほぼ充足しています。

したがって、「地域枠は定員割れの状況にあるため、入りやすい」というのは事実誤認であるため注意しましょう。

ただし、「定員割れしている」というのは誤りである一方で、地域枠は一般枠に比べると合格最低点が低く、「合格しやすい」というのは事実でもあります。

しかしながら、この点にも注意が必要です。

地域枠で進学すると、合格した時点で必ずその大学に進学しなければなりません。

また、指定された地域で9年間勤務しなければならないため、医学部6年間+地方勤務9年間の合計15年間の進路が受験した時点で決まってしまうことになります。

20~30代という時期は、結婚や出産、子育てなどのライフイベントが重なる時期でもあります。
また、勤務地は医師不足が深刻なへき地であることが多いため、最先端の医療技術に触れられないなど、医師としてのキャリアもかなり制限されることになります。

地域枠は返還不要の奨学金が受けられるという大きなメリットがある一方、9年間も勤務地が指定されるという大きな制限があり、「進学してから後悔する」というケースも少なくありません。

地方勤務については途中でやめることは一応できるものの、奨学金を一括で返還する必要があったり、地域によっては違約金が科せられたり(例:山梨県)、さらにはブラックリストに載ってしまって研修先の病院が見つからなかったりと、ペナルティも非常に重くなっています。

「とにかく医学部に合格したいから、地域枠を選ぶ」というのも選択肢の一つではありますが、一度地域枠を選んでしまうと15年間はほぼ引き返せないということを十分理解した上で選択するようにしましょう。

なお、「地域医療に貢献したい」「地元の医療を支えたい」という想いを持っている方にとっては、地域枠は受かりやすく、さらに奨学金も受けられるというメリットばかりの制度になりますので、積極的に利用すると良いでしょう。

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【医学部受験】科目配点と問題難易度④私立・一般入試

【医学部受験】科目配点と問題難易度④私立・一般入試

国公立・一般前期と並んで受験を検討している人が多いのが、私立大学医学部の一般入試ではないでしょうか。

私立と国公立の最も大きな違いは、入試問題がマーク式か記述式かという点です。
私立大学医学部の一般入試は、国公立大学や他の私立大学と併願することができます。そのため、国公立大学と比べると受験者も多く、記述式の問題だと採点が間に合いません。

したがって、ほぼすべての私立大学医学部はマーク式の回答方式となっています。

記述式の場合は、途中まで解ければ部分点がもらえることもあります
また、最後で計算ミスをしてしまった場合などは、ごく少ない減点で済む場合もあります。

一方、マーク式の場合は間違えてしまうと一切点はもらえません
そのため、正確に計算し、さらにマークミスに気を付けるなど、最後まで落ち着いて問題を解けるように練習しておく必要があります。

問題の難易度は大学によって様々ですが、国公立と同様に、医学部単科大学の場合はややクセのある問題が多くなっています(例:日本医科大学など)。

単科大学のように合格者の得点率が低い大学の場合は、

  •  解ける問題を確実に解く
  • 解けなさそうな問題については早めに見切りをつけ、他の問題に取り掛かる

といった戦略が重要になります。

ですので、基礎的な学力がしっかりと身に付き、いよいよ過去問を解くというステップに進んだ際には、本番どおりに時間を測りながら、問題を解く順番や問題の取捨選択についても意識して取り組むようにしましょう。

なお、医学部単科大学だけでなく、慶應義塾大学や順天堂大学といった難関私立大学医学部の場合も、問題の難易度が非常に高く、合格者の得点率は低くなっています
そのため、医学部単科大学の対策と同様に、解ける問題を素早く見極め、取捨選択しながら解いていく練習に取り組む必要があります。

医学部単科大学や難関大学以外の私立大学医学部は、偏差値がやや低く、合格者の得点率が高い傾向にあります。

そのため、地方の国公立大学医学部と同様に、「何問解けるか」ではなく「何問間違えないか」という基準で勝負していかなければなりません。

加えて、記述式である国公立と違い、私立の場合はマーク式で回答しなければなりません。
単純なマークミスが合否を分けてしまう可能性もあるため、計算ミスやケアレスミスには十分に注意しましょう。

普段からケアレスミスが多い人は、「自分がどんなミスをしやすいのか」を早めに把握し対策を講じていくことが大切です。

具体的には、ケアレスミスをした際に「どんなミスだったか」をメモしていき、コツコツとデータを取っていきます。

  • 「0と6」の見間違い
  • 「1と7」の見間違い
  • 「アルファベットのbと6」の見間違い
  • 「くり上がり・くり下がり」の間違い
  • 「誤っているものを選べ」で正しいものを選んだ
  • 「正しいものをすべて選べ」で1つしか選ばなかった

など、ケアレスミスにはいくつかのパターンがあります。

「0と6」の見間違いが多いのであれば、「0と6」を特に丁寧に書くことでミスを減らせますし、「誤っているものを選べ」で正しいものを選んでしまうことが多い場合は、問題文の最後に下線を引くなどしたり、見直しの際に注意して確認したりすることで対策できます。

たかがケアレスミスと思ってしまうかもしれませんが、マーク式のテストでは部分点がもらえないため非常に痛い失点となってしまいます。
また、受験においては1点のケアレスミスで合否が分かれてしまうことを念頭に置き、しっかりと対策していきましょう。

なお、どうしてもケアレスミスが多くなってしまう場合は、記述式で出題される国公立大学医学部を第一志望に見据え、中心的に対策していくのも一つの戦略となります。

ちなみに、私立大学にはある程度のブランドイメージが付いて回ります。

ブランドイメージから大学を選ぶことはおすすめできませんが、一方で「ブランドイメージが高い=伝統校である=志望者が多い・倍率が高い・偏差値が高い」ということは一般的な傾向として言えるため、“ざっくりどのくらいのレベル感か”を知るためにはある程度の指標となります。

以下は私立大学を“ブランド力”の観点からグループ分けしたものであり、私立大学医学部を選ぶ際の一定の目安としていただけます。

ですが、実際に志望校を絞っていく際には必ず各大学の試験科目や配点、問題難易度を確認するようにし、イメージだけで選ばないように注意していただければと思います。

<私立大学医学部のグループ分けの一例>
◾️旧制医科大学(3校)
・慶応義塾大学、東京慈恵医科大学、日本医科大学
・いわゆる私立御三家で、国立の旧帝大に次いで歴史が古く、私立大学の中では最もブランド力が高い。

◾️旧医学専門学校(10校)
・岩手医科大学、順天堂大学、昭和大学、東京医科大学、東京女子医科大学、東邦大学、日本大学、大阪医科薬科大学、関西医科大学、久留米大学
・戦後に医科大学に昇格した私立大学医学部のグループ。私立御三家に次いで歴史が古い。

◾️新設医科大学(16校)
・自治医科大学、獨協医科大学、埼玉医科大学、北里大学、杏林大学、帝京大学、東海大学、聖マリアンナ医科大学、金沢医科大学、愛知医科大学、藤田医科大学、近畿大学、兵庫医科大学、川崎医科大学、福岡大学、産業医科大学
・1970年代に新設されたグループで、戦後の人口増加に伴う医療需要の増加に対応するために設置されたもの。

◾️その他(2校)
・東北医科薬科大学、国際医療福祉大学
・2016~2017年に設立されたばかりの大学。「東北地方における復興のための医学部新設の特例措置」により設置されたもの。

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【医学部受験】志望校の選び方②経済的な負担

【医学部受験】志望校の選び方②経済的な負担

医学部の志望校選びにおいて、合格しやすさと並んで重要なのが経済的な負担です。

国公立の学費は6年間で400万円程度であり、大学によって差はあまりありません。

一方、私立の学費は2,000~4,600万円程度とかなり幅があり、大学選びによって多少は学費を抑えることができます。

ただし、学費以外に「寄付金」や「物品購入費」といった名目で納入が必要になる場合があるので注意しましょう。また、「入学時納入金」などの形で、滑り止め受験であっても一旦支払いが必要になる場合も多いです。

学費以外にどれくらい費用が掛かるかは大学によって様々ですので、募集要項などをしっかりと読み込み、必要な費用についてきちんと把握しておきましょう。

加えて、下宿する場合はそのための費用も必要です。

大学生の年間仕送り額の平均は102.3万円とされていますので、6年間だと613.8万円が必要ということになります。(下宿費用の平均は?いくら準備しておけばいいの? | おかねの無料相談・見直しはお金のプロ(FP)に | マネードクター【ナビ 】 (fp-moneydoctor.com)

また、102.3万円という数字はあくまで平均であるため、下宿先が都心部で家賃や物価が高い場合は、仕送り額もさらに高額になるでしょう。

下宿の費用も6年間となればかなりの額であり、学費と併せて必要となると家計の状況から難しいというケースも出てくるかもしれません。

自宅から通える範囲であることが必須条件となる場合も十分に考えられますので、下宿が可能かどうかについては家庭内でよく話し合うようにしましょう。

なお、「地域枠」での受験であれば、返還不要の奨学金が受けられるため、学費が実質無料になります。

ですが、「1-3.【医学部受験】科目配点と問題難易度③地域枠」で解説したように、卒業後9年間指定された地域で勤務することには大きなデメリットも伴いますので、慎重に検討するようにしましょう。

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【医学部受験】志望校の選び方③医師としての将来の働き方

【医学部受験】志望校の選び方③医師としての将来の働き方

「将来、医師としてどのように働きたいか?」ということも、志望校選びにおいては非常に大切な観点です。

一昔前には「医局」(※)の存在が大きく、大学ごとに勤務先となる病院もある程度限定される状況にありました。

※医局…大学病院独自の人事・組織体制のこと。

例えば、京都大学医学部は日本で最も大きな医局を持っていて、その範囲は静岡から京都、奈良、神戸、赤穂、豊岡、鳥取、島根と山陰地方を超えて福岡まで至るとされています。

また、京大閥に属している多くの病院は、地域の医療を支える基幹病院であり、さらに準公的病院である日本赤十字病院や済生会病院も京大閥に属しています。

そのため、京都大学医学部に進学した場合は、卒業後はこれらの地域の基幹病院に配属となる可能性が高くなります

一方、同じく関西の最難関国立大学医学部である大阪大学の医局は、範囲は狭いものの、都心部を含んだ大阪府内全域をカバーしています。

そのため、人口の多い都心部での勤務を希望する場合は大阪大学への進学が適していますし、逆に地方の基幹病院での勤務を希望する場合は京都大学への進学が適していると言えます。

ただし、2004年から導入された「新医師臨床研修医制度(※)」により、このような医局に基づいた人事は以前ほど活発ではなくなっています。

というのも、2004年以前は医局に所属することによって研修先で先輩医師から指導を受けられたり、就職先を斡旋してもらったりすることができていましたが、「新医師臨床研修医制度」が導入されたことにより、医局に所属せずとも研修先を選ぶことができるようになりました。

※新医師臨床研修医制度…2004年以前は出身大学関連病院で単一診療科のみの研修を行うこと(=ストレート方式)がほとんどだったが、2004年の制度改正によりさまざまな診療科の研修を受け、幅広い診療能力が身に付けられる総合診療方式(スーパーローテイト)による研修が広く採用されるようになり、併せて研修医の身分や処遇も改めて整理された。(参考:医師臨床研修制度のホームページ |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

就職先を斡旋してもらえたり、先輩医師とのつながりが作れたりするなど、医局に所属することにはメリットもある一方、繁雑な業務を任されるなどのデメリットもあります。

そのため、現在では1割程度の医師が医局に所属せずに活動していると言われています。
また、出身大学ではない医局に入るケースも増えつつあります。

かつては医学部を卒業すれば必ず全員が医局に所属していましたが、今では卒業後に好きな医局を選んだり、医局に属さないという選択もできるようになっています。

ですので、医局の存在はある程度意識しつつも、純粋に「どんな医師になりたいか?」というイメージを持ち、大学の方針と自身の目指す医師像が合致しているかを確認していくと良いでしょう。

「どんな医師になりたいか?」については面接でも必ず問われますので、早めに意識して考えを整理しておくことをお勧めします。
なお、臨床医ではなく医学研究者を目指す場合は、医学研究に力を入れている国立大学を選ぶようにしましょう。

地方の国公立大学ではその地方の医療を支える医師の養成を、私立大学では開業医の養成を主眼に置いている場合が多いです。

そのため、地方の国公立大学や私立大学は臨床医を目指す方にとっては適しているものの、研究にはそれほど力を入れておらず、研究設備や研究費も十分でない場合があり、医学研究者を目指す人にとってはあまり適していると言えません。

ですので、医学研究者を目指すのであれば、都心部の国立大学を中心に研究実績や研究設備をしっかりと調べ、自分のしたい研究ができるかどうかを確認するようにしましょう。

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医学部受験における志望校の選び方のまとめ

医学部受験における志望校の選び方のまとめ

この記事では、医学部受験における志望校の選び方について詳しく解説してきました。

改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。

<POINT>

  • 「偏差値が低い・倍率が低い=合格しやすい」は誤り
  • 志望校選びで最も大切なのは「試験科目と配点」
  • 得意科目を活かし、苦手科目をカバーできる配点の大学を探す
  • 共通テストの傾斜配点は得意科目を活かす絶好のチャンス
  • 地域枠では返還不要の奨学金を受けられるが、9年間の地方勤務に伴うデメリットには十分注意すること
  • 学費に加え、下宿する場合は6年間で600万円以上の仕送り等の費用が生じる
  • 私立では、学費以外にも「寄付金」「物品購入費」「入学時納入金」などが必要な場合があるので要注意
  • 一昔前ほど「医局」については意識しなくてもOK

医学部受験において志望校選びは非常に大切であり、自分に合った志望校を選ぶことによって合格が近付くだけでなく、その後の大学生活や医師としての働き方もより良いものになります。

自分に合った志望校を選ぶためには、偏差値ランキングやブランドイメージに左右されず、試験科目や配点といった細部にもしっかりと着目し、得意科目を活かし、苦手科目をカバーできるような戦略を立てることが重要です。

また、自分に合った志望校を選ぶためには自分の学力や性質を正確に分析しなければならず、さらに医学部受験に関する膨大な情報と照らし合わせながら大学を選んでいく必要があります。
自分一人だけで志望校を適切に選ぶことは非常に困難であるため、医学部の進路指導に長けた塾や学校の先生とよく相談しながら決めていくようにしましょう。

私たち医学部専門個別指導MEDICAL DIGでは、志望校選びから合格まで、一人ひとりに寄り添い丁寧にサポートしていきます。

特に、MEDICAL DIGでは現状の学力だけでなく、その人が持っている物事に向き合う姿勢や行動原理(=非認知能力)に着目し、「達成力」「挑戦」「自己肯定感」といった人間的な成長を促す指導を特長としています。

  • たくさん勉強しているのに成績が上がらない
  • 毎日コツコツと勉強を続けたいのに、モチベーションが保てない
  • 間違いを見直して、その原因を分析するのが苦手
  • 「苦手を見つけて復習すべき」とは分かっているが、そもそも自分は何が苦手なのかが分からない

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度MEDICAL DIGにご相談ください。

伸び悩みの原因をアトリビュートの観点から分析し、一人ひとりに合ったアプローチを行うことで、これらのお悩みを必ず解決していきます。

【医学部受験】志望校の選び方を解説!合格するためのポイントは?
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また、MEDICAL DIGの授業や面談はすべてオンラインで承っています。
全国各地からご利用いただけるほか、お近くに医学部専門塾が無くお困りの方、今通っている塾や予備校と並行して活用したい方など、様々なニーズにお応えすることが可能です。

初回の授業と面談・非認知能力診断は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

志望校への合格を目指して、一緒に頑張りましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。

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