この記事では、医学部の英語外部検定利用入試について解説していきます。
英語外部検定利用入試とは、大学独自の英語試験だけでなく、英検やTOEICなどの民間の検定試験を取り入れる入試方式のことです。
医学部では導入事例はまだ少ないものの、外部検定を利用する大学は増加傾向にあります。
外部検定の級やスコアを活用することで、受験を有利に進められる場合もありますので、ぜひ最後までお読みいただけますと幸いです。

医学部受験の専門家
妻鹿潤
・個別指導塾の経営・運営でお子様の性質・学力を深く観る指導スタイル
・yahooやSmartNews、Newspicksなどメディア向け記事も多数執筆・掲載中
▼目次
【医学部受験】英検利用入試|制度概要について
この章では、英語外部検定利用入試の制度概要について、
② どの検定を採用しているのか
③ どの級やスコアが必要なのか
の観点から解説していきます。
【医学部受験】英語外部検定利用入試の制度概要①どのような方式があるのか
まず、英語外部検定利用入試の方式には、以下の4つのパターンがあります。
① 出願資格
出願の資格として、特定の級やスコアの保有が必須であるパターンです。推薦型入試や総合選抜型入試に多いパターンで、これをクリアしていないと出願自体ができないため、募集要項をしっかり確認する必要があります。
② 加点
大学独自の試験の得点に、級やスコアに応じて得点が加算されるパターンです。級やスコアが高いほど、より多くの点数が加算されます。
③ 得点換算
保有している級やスコアが、英語の試験の点数として換算されるパターンです。こちらも級やスコアが高いほど、より多くの点数に換算されます。
④ 判定優遇・合否参考
点数として直接利用されるのではなく、合否を判定する際に参考として参照されるパターンです。より高い級やスコアを保有しているほど有利になります。
特に、推薦型入試や総合選抜型入試においては、検定試験の級やスコアが出願資格となる①のパターンが導入されている場合が多いです。
推薦型入試や総合選抜型入試で出願する際には、募集要領をよく確認し、必ず出願要件をチェックするようにしましょう。
【医学部受験】英語外部検定利用入試の制度概要②どの検定を採用しているのか
続いて「どの検定を採用しているのか」ですが、以下の検定が主に採用されています。
<英語外部検定利用入試で採用されている主な検定>
- 英検®(実用英語技能検定)
- ケンブリッジ英語検定
- TEAP
- GTEC
- IELTS
- TOEFL iBT
- TOEIC
- ケンブリッジ英語検定
そして、この中で最も利用者が多いのが英検®です。
旺文社教育情報センターによると、2024年一般選抜で英語の外部検定を利用した大学に対し、 実際に受験生が利用した外部試験を調査したところ、91.6%が英検®を利用していたことが分かりました。(参考:大学入試で受験生は英語の外部検定、何使う?|旺文社教育情報センター (obunsha.co.jp))
英検®に次いで利用されていたのはTEAPですが、その割合は5.6%と英検®とは大きく差が開いています。
また、大学が採用している外部試験の割合も英検®が98%となっています。
このことから、受験生にとっても大学にとっても、英検®が最もメジャーな外部試験となっていることが分かります。
とはいえ、どの検定試験に向いているかは人それぞれですので、自分に合った検定を選択することが大切です。
以下では、主な外部検定試験の特徴について解説していきます。
英検(実用英語技能検定)
英検は、日本国内で最も広く知られている英語試験のひとつです。5級から1級までレベルに応じて受験でき、年3回実施される「従来型」と、週末に受けられる「S-CBT」の2つの形式があります。
S-CBTは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を1日で測定できるため、受験勉強で忙しい方でも受験しやすいというメリットがあります。
ただし、大学によっては、S-CBTは利用不可だったり、逆に従来型が利用できなかったりする場合があるので注意が必要です。
条件を満たす検定の級を保有していたのに、利用できない方式で受験していたことが後から判明し、泣く泣く出願を取りやめるといったケースもあります。
せっかくコツコツと頑張ってきたのに、それが利用できないとなると後悔も大きくなります。
どの方式のテストが利用できるかまでは学校の先生も把握していない場合があるので、自分でも募集要項を必ず何度も確認し、細かい情報もしっかりとチェックしましょう。
また、募集要領を読んだだけでは分かりづらい場合は、大学に直接問い合わせるなどしましょう。
英検の受検料は1万円前後で、合否に加え、英検CSEスコアでの評価も行われます。(参考:英検(実用英語技能検定)|公益財団法人 日本英語検定協会)
TEAP(ティープ)
TEAPは、上智大学と日本英語検定協会が共同開発した英語試験で、大学入試での利用を目的に作られています。
TEAPは、英検®とは異なり、4技能の成績がスコア形式で評価されます。
ペーパー型とコンピュータ型の2種類があり、ペーパー型は各技能200点満点の合計800点、コンピュータ型は各技能100点満点の合計400点で成績が示されます。
年間に3回実施され、特に大学入試を考えている受験生にとって有力な選択肢となります。
TEAPはアカデミックな内容を重視しており、特に大学で学ぶために必要な英語力を測定することを目的としています。(参考:TEAP(ティープ) | 公益財団法人 日本英語検定協会)
GTEC(ジーテック)
GTECは、ベネッセが提供するスコア形式の英語試験です。対象者のレベルに応じて「Core」「Basic」「Advanced」「CBT」の4種類に分かれており、中学生から高校生まで幅広い層が受験できます。
「Basic」「Advanced」「CBT」が高校生相当レベルとなり、大学受験では「CBT」が利用される場合がほとんどです(Coreは中2~中3レベル)。
基本的には学校など団体単位での受験となりますが、CBTは個人でも受験可能です。
成績は4技能各350点の合計1400点満点で示されます。成績がスコアで示されるため、受験者自身の成長や進捗を客観的に測定できるのが特徴です。(参考:GTEC | スコア型英語4技能検定|ベネッセコーポレーション)
IELTS(アイエルツ)
IELTSは国際的に広く利用されている英語試験であり、主に留学や移住、海外での就職を目指す人が取得する資格です。
IELTSには、ペーパー版とコンピュータ版の2種類があり、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を測定します。
コンピュータ版はほぼ毎日実施されているため、受験生の限られた時間の中でも受験しやすくなっています。
受験料は約25,000円で、成績は技能ごとに1~9のバンドスコアで評価され、総合評価(Overall Band Score)も1~9で示されます。
日本国内では日本英語検定協会とブリティッシュ・カウンシルが共同で運営しており、留学を考えている人や、国際的な舞台で活躍したい人におすすめの試験となります。(参考:IELTS 公式サイト|英検協会)
TOEFL iBT(トーフル アイビーティー)
TOEFL iBTは、アメリカのETS(Educational Testing Service)が運営する試験で、特に留学やアカデミックな分野での活用を目的としています。
試験は基本的にコンピュータ上で行われ、年間約50回実施されています。
リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能で構成されており、各技能30点満点、合計120点満点で評価されます。
TOEFL ITPという団体向けの試験もありますが、個人受験ではなく、主に学校や企業向けの試験として利用されます。
TOEFL iBTは、他の検定と比べるとアカデミックな内容が多いため、医学研究者を目指す方や、将来留学を考えている方におすすめの検定となります。(参考:TOEFL iBTテスト)
TOEIC(トーイック)
TOEICは、ビジネスシーンで広く活用される英語試験であり、特に日本においては就職・転職の場面で重視されています。
試験は原則として月に1回実施され、リスニングとリーディングの2技能を測定する形式となります。
合計スコアはリスニング495点、リーディング495点の990点満点です。
また、TOEIC Speaking & Writingという試験も実施されており、スピーキング200点、ライティング200点の合計400点満点で評価されます。
4技能すべてをカバーすることで、より総合的な英語力を示すことができます。
TOEICは、主に就職活動やキャリアアップを目指す方向けの検定となりますが、大学入試で利用できる場合もあります。(参考:TOEIC|一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会)
ケンブリッジ英語検定
ケンブリッジ英語検定は、世界的に評価の高い英語試験であり、特に欧米諸国での知名度が高いです。
試験はCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)の基準に基づいて6つのレベルに分かれており、レベルごとに試験が用意されています。
年間約20回実施され、成績はA~Cのグレードで評価されます。
ケンブリッジ英語検定は、特に欧米の大学や職場での使用が多く、国際的に通用する資格として広く認知されています。
英語を母語としない国々での評価も高く、英語の熟練度を証明する有力な資格となっています。(参考:ケンブリッジ英語検定)
【医学部受験】英語外部検定利用入試の制度概要③どの級やスコアが必要なのか
では、どの級やスコアを保有していればよいのでしょうか?
医学部以外の入試の場合は、英検®であれば準2級もしくは2級以上が求められることが多いです。(参考:外部検定利用入試 2024年は462大学!|旺文社教育情報センター (obunsha.co.jp))
一方、医学部の場合は準1級以上が求められることが多いです。
医学部は他の学部より高い学力が求められる傾向にありますが、英語の外部検定でも同じ傾向にあると言えます。
英検®以外の検定試験においても、概ね英検準1級相当以上のスコアが必要となります。
それぞれの検定試験のスコアは、ほとんどの場合、「CEFR」や「CSE」といった基準に照らし合わせて設定されています。(参考:【大学向け】 新CEFR対照表|旺文社教育情報センター (obunsha.co.jp))
以下では、CEFRとCSEについて詳しく解説していきます。
CEFR(セファール)
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は、直訳すると「欧州言語共通参照枠」となり、元々はヨーロッパで使用される言語の熟達度を評価するために作られました。
近年では、日本を含む多くの国々で、英語熟達度の評価として活用されています。
CEFRでは、英語の熟達度をA1からC2までの6段階に分類しています。
初心者から流暢な言語使用者までのレベルを包括的に評価できる指標で、各レベルの具体的な熟達度は以下のとおりとなります。(参考:Common European Framework of Reference for Languages: Learning, Teaching, Assessment (CEFR) – Common European Framework of Reference for Languages (CEFR) (coe.int))
・C2(熟達した言語使用者)
ほぼすべての話し言葉や書き言葉を容易に理解し、情報をまとめて論点を一貫させることができる。
自然で流暢な表現ができ、どんな状況でも正確に対応できる。
・C1(熟達した言語使用者)
複雑な文章や抽象的な話題を理解し、含意を把握することができる。
言葉を選ぶことなく流暢に自己表現でき、社会的・学問的な場面でも効果的に英語を使用できる。
・B2(自立した言語使用者)
専門的な話題を含む複雑な文章を理解でき、日常的な場面では母語話者と緊張せずにやり取りが可能。
幅広い話題について、明確かつ詳細な文章を作成できる。
・B1(自立した言語使用者)
仕事や学校、日常生活でよく使われる話題について、主要な内容を理解できる。
身近な話題について、筋の通った簡単な文章を作成でき、日常的な場面での対応が可能。
・A2(基礎段階の言語使用者)
個人情報や日常の基本的な話題(買い物、仕事など)に関する簡単な表現を理解できる。
身近な話題に関して、簡単な会話や情報交換が可能。
・A1(基礎段階の言語使用者)
よく使われる日常的な表現や基本的な言い回しを理解し、使うことができる。
自己紹介や簡単な質問への応答ができ、ゆっくりとした会話ならば相手と意思疎通が可能。
各種の英語検定試験は、CEFRの基準に照らし合わせてどのレベルに対応するかが示されています。以下は、主要な英語検定試験とCEFRの関係を示す目安となります。(参考:参考資料 英検における外部基準との関連:文部科学省 (mext.go.jp))
CEFR | 英検 | GTEC | IELTS | TOEFL iBT | TOEIC | TEAP | ケンブリッジ英検 |
C2 | – | – | 8.5-9.0 | 120 | – | – | Proficiency (CPE) |
C1 | 1級 | 1400 | 7.0-8.0 | 95-120 | 1305-1390 | 400 | Advanced (CAE) |
B2 | 準1級 | 1250-1399 | 5.5-6.5 | 72-94 | 1095-1300 | 334-399 | First (FCE) |
B1 | 2級 | 1000-1249 | 4.0-5.0 | 42-71 | 790-1090 | 226-333 | Preliminary (PET) |
A2 | 準2級 | 700-999 | 3 | – | 385-785 | 186-225 | Key (KET) |
A1 | 3〜5級 | -699 | 2 | – | 200-380 | – | – |
CSE
CSE(英検スコア:Common Scale for English)は、英語能力を総合的に評価し、数値化して示すための指標です。主に英検で使用されていますが、他の試験とも比較しやすいよう設計されており、英語力を客観的に把握できる点が特徴です。
CSEは、各技能(リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング)を総合的に評価し、それを1,000点満点でスコア化します。
このスコアによって、自分の英語力をより詳細に確認できるだけでなく、次に目指すべき目標や改善点も明確になります。
英検では、級ごとに目安となるCSEスコアが設定されており、各技能の得点を合計して総合スコアとして示されます。
例えば、英検準2級では、リスニング、リーディング、ライティングそれぞれで均等な配分があり、総合スコアが目安となる基準点を上回れば合格となります。このスコア方式により、英語力の強みと弱みを把握し、どの部分を強化すべきかが分かりやすくなります。
CSEスコアは、「CEFR(セファール)」と対応しており、英語力の国際基準とも照らし合わせることができます。
これにより、日本国内だけでなく、海外でも自分の英語力をアピールする際に役立ちます。以下は、CSEスコアとCEFRレベルとの対応関係の一例です。
CEFRレベル |
英検級 |
CSEスコア |
C2 |
1級 |
2600-3000 |
C1 |
準1級 |
2300-2599 |
B2 |
2級 |
1900-2299 |
B1 |
準2級 |
1600-1899 |
A2 |
3級 |
1400-1599 |
A1 |
4級、5級 |
-1400 |
この表を参考に、自分が目指す英語レベルに対して、どの級やスコアを目指せば良いか判断することができます。
例えば、英検2級を取得していて、さらにTEAPを受検する場合、同程度の熟達度である334~399が、現在の英語力で取得できるスコアの目安となります。
学校や企業では、CSEスコアを参考にして英語力を評価するケースも増えており、就職や進学においてアピールポイントとすることもできます。

【医学部受験】英語外部検定利用入試の2つのメリット
英語外部検定利用入試を利用するメリットには、以下の2点が挙げられます。
② 英語だけ先行して得点することができる
【医学部受験】英語外部検定利用入試の2つのメリット①何度でも受検できる
例えば、英検の場合、従来のペーパーテストだと年に3回、コンピュータテスト(CBT)だと年に6回も受検することができます。
大学独自試験が本番のみの勝負であるのに対し、外部検定は何度でもチャレンジできるため、安心して臨むことができるというメリットがあります。
【医学部受験】英語外部検定利用入試の2つのメリット②英語だけでも先行して得点することができる
英語外部検定利用の場合、当該校の入試に先立って外部検定の級やスコアを保有することになります。
そのため、得点換算の場合は英語の得点だけが事前に確定しますし、加算の場合は「少なくとも〇点以上取れる」ということが確定します。
これにより、入試直前の時期には英語以外の教科に専念して勉強することができるというメリットがあります。
ですので、志望校において外部検定の得点換算率が高く、英語に自信のある方は、外部検定を利用することで非常に有利に入試を進めることができます。

【医学部受験】英語外部検定利用入試実施校一覧
英語の外部検定を入試に導入する大学は、近年増加傾向にあります。
しかし、他学部に比べると医学部で導入しているケースはまだ少なく、国立・私立を合わせて計11大学となっています。
以下では、医学部で外部検定を導入している大学を紹介していきます。
【医学部受験】英語外部検定利用入試実施校一覧①国立大学
国立大学では、以下の4大学が英語外部検定利用入試を導入しています。
岡山大学
岡山大学の特徴としては、外部検定のスコアが非常に高い場合は共通テスト英語の得点が満点とみなされ、さらに個別学力試験の英語も免除されるという点が挙げられます。
例えば、IELTS 7.0以上やTOEFL iBT 95以上のスコアを取得していると、共通テストの英語および個別試験が満点扱いとなり、非常に有利となります。(参考:岡山大学)
広島大学
広島大学は、英検やIELTSなどの外部検定のスコアがCEFR B2以上であれば共通テスト英語を満点とみなす一方で、スコアがそれ以下の場合の加点や換算は岡山大学ほど優遇されません。
つまり、外部検定で高いスコアを取得している場合は、岡山大学の方が広島大学より有利に換算されるということになります。(参考:広島大学)
佐賀大学
佐賀大学では、外部検定スコアが共通テストの得点より高い場合に、共通テストの得点として換算されるシステムを採用しています。
例えば、英検準2級やTEAPなどのスコアを取得していて、共通テストの得点が低かった場合は、各検定のスコアが採用される可能性があります。
一方で、共通テスト英語の得点が高かった場合は、外部検定のスコアは得点として換算されない場合があります。
このように、佐賀大学は共通テスト英語の得点によって柔軟な加点システムを採用しており、他の大学に比べて準2級や2級といった比較的低いレベルのスコアでも換算される可能性があることが特徴です。(参考:佐賀大学)
鹿児島大学
鹿児島大学では、外部検定のスコアが一定の基準を満たしている場合、共通テストの英語の加点として利用されます。加点対象は、共通テストのリーディングおよびリスニングの点数となります。
また、共通テストの得点が80%以上の場合は満点とみなされるなど、やや特殊な方式となっています。
具体的な加点方法は以下のとおりです。
共通テストの点数が80%以上:共通テストの英語の点数が満点とみなされます。
共通テストの点数が80%未満:共通テストの点数に1.25倍の加点が行われます。
つまり、外部検定のスコアが高ければ共通テストの点数を底上げでき、合格の可能性を高めることができます。(参考:鹿児島大学)
【医学部受験】英語外部検定利用入試実施校一覧②私立大学
私立大学では、以下の7大学が英語外部検定利用入試を導入しています。
東邦大学
東邦大学は、統一入試の出願資格として英語外部検定を利用し、さらに2次試験での加点も行います。
英検® 2級相当のスコアが基準であり、これによって出願の要件が満たされるだけでなく、試験での得点も加点されます。
そのため、外部検定のスコアを持っていることで大きなメリットが得られます。
出願資格を満たすためのスコア設定が比較的低め(英検2級)であることに加え、2次試験で加点が得られる点が特徴となっています。(参考:東邦大学)
東京医科大学
東京医科大学では、学校推薦型選抜で外部検定を活用します。
CEFR B2以上のスコア(英検®準1級やIELTS 5.5以上など)が基準となり、出願資格に加え、試験当日にも加点が行われます。
スコアの良し悪しが入試結果に直接影響するのが特徴となっています。
CEFR B2以上の基準は多くの大学で出願資格として採用されていますが、東京医科大学では推薦入試においても加点が行われるため、早期に高スコアを取得しておくことで受験を有利に進めることができます。(参考:東京医科大学)
東京慈恵会医科大学
東京慈恵会医科大学では、外部検定のスコアを持っている受験生に対して、大学独自の外国語試験が免除される制度を採用しています。
看護学科においても同様に、スコアによる免除や換算が適用され、受験時の負担を軽減することができます。
試験免除という形で外部検定のスコアを活用する点が特徴となっており、当日の試験が免除されることで、受験勉強の負担軽減につながります。(参考:東京慈恵会医科大学)
順天堂大学
順天堂大学では、一般選抜B方式および研究医特別選抜で外部検定が利用可能です。
スコアに応じた加点制度が導入されており、特に高いスコア(例:TOEFL iBT 95以上、英検®CSE 2600以上など)を取得している場合、最大25点の加点が行われます。
なお、研究医特別選抜では、外部検定が出願要件としても利用されています。
順天堂大学では、スコアが直接加点につながるため、高スコア保持者が大きく有利になります。また、外部検定スコアを持つことで出願資格もクリアできる点が特徴です。(参考:順天堂大学)
藤田医科大学
藤田医科大学では、共通テスト利用後期試験で英検®や他の外部検定スコアを利用することができ、共通テスト英語の得点として換算されます。
スコアによっては、共通テストの英語得点が180点として扱われ、満点に近い扱いが得られます。出願資格としての基準は英検2級です。
共通テストの点数が不十分な場合でも、外部検定のスコアで補完する仕組みが導入されているため、英検2級でも十分な得点が保証される可能性があります。(参考:藤田医科大学)
兵庫医科大学
兵庫医科大学では、一般選抜B方式(高大接続型)で出願資格として外部検定を使用します。英検®2級が最低基準となります。
ただし、加点制度はなく、出願資格としてのみ使用されます。
他大学と比較すると利用方法がシンプルで、スコアが加点につながることは無く、出願資格としてのみ利用されることが特徴です。(参考:兵庫医科大学)
福岡大学
福岡大学では、共通テスト利用試験において、外部検定スコアに応じて加点が行われます。
英検準1級以上であれば最大40点、英検2級であれば20点の加点がされ、これにより共通テストの英語の得点を補強できます。
福岡大学は加点制度が明確であり、特に準1級以上を持っている場合は大幅な加点が期待できます。
外部検定のスコアを利用して、共通テストの得点を大きく底上げできる点が福岡大学の特徴となっています。(参考:福岡大学)

【医学部受験】英語外部検定利用入試の対策のポイント2点
この章では、英語外部検定利用入試の対策について、2つのポイントから解説していきます。
【医学部受験】英語外部検定利用入試の対策のポイント①計画を立てる
英語外部検定利用入試を利用する際には、目指すスコア・級を取得するまでのスケジュールをしっかりと立てることが大切です。
そのためには2つのゴールを設けると良いでしょう。
2つのゴールとは、
② どのスコア・級を目指すか?
になります。
① 出願時期はいつか?
外部検定のスコアや級の取得を目指す際には、志望する大学の出願に間に合うように取得することが何よりも重要です。
出願までに検定試験を受ければよいだけではなく、結果の判定日までのタイムラグについても十分考慮しておく必要があります。
また、外部検定の実施日は毎年異なります。
特に英検の場合は、試験日を土日に合わせているため、曜日周りによっては1週間近く日程がずれることになります。
うっかりしていると志望大学の出願締め切りに間に合わないこともありますので、「大体何月ごろ」ではなく何月何日の試験を受けるのかまでしっかりと把握しておきましょう。
② どのスコア・級を目指すか?
どのスコア・級を目指すのかを決めて、計画的に対策を進めることもとても大切です。
各大学の募集要項では、出願資格や当日の試験への加点、換算の条件としてスコアや級が記載されているので、これを元に自分の目標を決めるようにしましょう。
一般的に、国公立大学医学部では英検準1級レベル、私立大学医学部では準1級~2級レベルが最低条件として提示されている場合が多いです。
得点換算や加点の場合は、スコアや級が高ければ高いほど高得点を狙えますので、自分の実力に見合った目標を設定しましょう。
また、外部検定は年に複数回実施されるため、何度もチャレンジすることが可能です。
ですので、いきなり高い級やスコアを狙わずに、少しずつステップアップするような形で受検するのも良いでしょう。
ただし、「①出願時期はいつか?」で述べたように、タイムリミットはあります。
したがって、低い目標からチャレンジする場合でも、いつまでに目標を達成するのかについてはしっかりと計画を立てることが大切です。
まずは検定試験の年間スケジュールを確認し、いつまでに何級を、次の級はいつまでに、というように計画を立てていきましょう。
また、すでにある程度の級やスコアを保有している人は、さらなるステップアップのための計画を立てるのも良いでしょう。
その際には、どの級・スコアまでが得点として換算されるのかをよく調べることも大切です。
外部検定の対策にかける時間を、他の教科の対策に費やした方が合格率が上がる可能性もあります。
英語が得意な方は、ついつい英語ばかりに力を入れてしまうこともあるかもしれませんが、全体を見てバランスよく対策を進めることも大切です。
【医学部受験】英語外部検定利用入試の対策のポイント②あくまでも「手段」として
医学部受験において外部検定を利用することは、「2.【医学部受験】英語外部検定利用入試の2つのメリット」で挙げたようなメリットがあり、非常に効率よく受験対策を進められる場合もあります。
また、英語の実力がどの程度身についているかを測るために検定を受けた結果、それが受験に活かせるのであれば一石二鳥と言えるでしょう。
ただし、外部検定の利用は、あくまでも「手段」であるということには注意しましょう。
外部検定を利用する方の中には、良いスコアを取ることが「目的」になってしまい、他の教科の学習が疎かになってしまう方がいらっしゃいます。
外部検定は年間に何度も実施される上に、結果もすぐに確認できるため、ついついスコアを上げることに夢中になってしまうかもしれません。
ですが、最終的な目的は志望校に合格することです。
特に、英語が得意な方の場合、これ以上英語で得点を伸ばしても、合格率はそれほど上がらないというケースも多いです。
英語の対策よりも、得点差の出やすい国語や理数系の科目の対策をした方が合格に近づけるケースもありますので、現在の状況を冷静に分析することをぜひ心掛けていただきたいと思います。

【医学部受験】このままで合格できるか心配な方へ|簡単合格率チェック
医学部の英語外部検定試験利用を検討している受験生や保護者さまの中には、「今のままで合格できるのだろうか…?」と不安を感じている方もいらっしゃると思います。
ご自身の受験対策が合っているのか気になる方や、今のままで合格できるか知りたい方は、ぜひ以下の「今から簡単!合格可能性チェックリスト」をお試しください。
① 1日の勉強時間が平均6時間未満である
② 1日にスマホを1時間以上触っている
③ 勉強の計画を立てるのが苦手
④ 目標や計画を立てず、何となく外部検定を受検している
⑤ 何度受検しても外部検定のスコアが伸びない
⑥ 問題を手当たり次第に解いていて、取捨選択していない
⑦ 今、優先して対策すべき科目や単元がわからない
⑧ 問題をなぜ間違えたのかについて考える習慣がない
⑨ 参考書や問題集選びに時間を掛け過ぎてしまう
⑩ 級やスコアをどのように活かせるか分からない
〔当てはまる項目数〕
- 0項目
→順調に受験勉強が進められています!このままのペースで頑張りましょう。 - 1~2項目
→良いペースですが、もう少し勉強の効率を上げることができそうです。 - 3~5項目
→改善の余地がかなりあります。まずは自分の課題を明らかにしましょう。 - 6項目以上
→かなり合格可能性は低いです。本当に医学部に進学したいのか、今一度じっくり考えましょう。
また、それぞれのチェック項目から、「今の自分に不足している力」を見つけることができます。
例えば、チェック項目①~②に当てはまる人は、「自律性」が不足していると考えられます。
「自律性」とは、自分でルールを決め、そのルールに則って行動する能力のことです。
受験においては、「毎日○時間勉強する」のようにコツコツと努力を積み重ねることが非常に大切です。
自律性が不足していると、ついついダラダラしてしまったり、「今日くらいサボってもいいや」と課題を後回しにしたりしてしまいます。
そのため、勉強の量が不足することが多く、思ったように学力が伸びないほか、検定のスコア上昇も振るわなくなります。
「自律性」が不足していると感じる人は、勉強に対する姿勢を今一度見直し、文字どおり「自分を律して」受験勉強に挑むようにしましょう。
チェック項目③~④に該当する人は、「計画力」に課題があると言えます。
「計画力」とは、自分が設定した最終目的から逆算して、適切な学習スケジュールを立てる能力を指します。
英語外部検定利用入試においては、各検定の試験日のスケジュールと志望する大学の出願期間とを照らし合わせ、計画的にスコアや級を取得していかなければなりません。
「計画力」が不足していると感じる人は、先生と一緒に計画を立てるなどし、計画の立て方を身に付けていきましょう。
チェック項目⑤~⑧に当てはまる人は、自己分析力に課題があります。
特に⑧の「問題をなぜ間違えたのかについて考える習慣」はとても重要で、自己分析力を身に付けるための一番の近道といえます。
どんな問題でよく間違えるのか、間違いの原因は何かなどを客観的に見直すことで、少しずつ自己分析力を身に付けていくことができます。
チェック項目⑨~⑩に当てはまる人は、「目的思考力」が不足していると考えられます。
「目的思考力」は、医学部受験において非常に大切です。
というのも、“合格するために今何をすべきか”を自分で考えることができなければ、受験までの限られた時間の中で、自分に合った勉強方法を見つけ、効率良く学習することができません。
ですので、やみくもに外部検定を受検するのではなく、「この検定のどの級が、どの大学の入試に有利か」という目的思考を持ち、なんとなく検定の受検回数をこなすという受検方法から一段ステップアップすることが大切です。
目指すスコアや級という目的を設定し、そこから逆算的に計画を立てる自信がない方は、自分だけで考えるのではなく、学校や塾の先生にも相談するようにしましょう。
MEDICAL DIGでは、このような学力の背景にあるスキル(=非認知能力)に着目した学習指導を行っています。
まずは無料相談で現在のお悩みや課題を詳しくお伺いし、その際に併せて志望校合格に向けた「非認知能力診断(30分程度)」を実施します(非認知能力診断も無料で実施させていただきます)。
そして、生徒さまの非認知能力の強みと課題を分析し、より詳細なデータを元に進路指導や授業内容の検討、カリキュラム作成などを行ってまいります。

【医学部受験】英語外部検定利用入試のまとめ
この記事では、医学部受験における英語外部検定利用入試方式について、特徴や対策などを詳しく解説してきました。
改めてポイントをまとめると、以下のとおりです。
<POINT>
- 医学部において、英語外部検定利用入試を実施している大学はまだ少ない
- 利用検定は英検®が多くを占める
- 国公立の必要スコア・級は、英検®の場合で概ね準1級以上で、私立は2級以上
- 外部検定は受検のチャンスが複数回あることと、英語の得点だけでも先行して取得できることが大きなメリット
- 志望する大学の出願期間から逆算して計画を立てることが大切
- 外部検定はあくまでも「手段」であり、「目的」ではないことに注意
英語外部検定利用入試を攻略するためには、スケジュールをしっかりと立て、計画的に目標の級やスコアを取得することが大切です。
そしてそのためには、日々コツコツと英語の勉強に励むだけでなく、自分の実力と適性を把握し、自分に合った大学を見極めることも大切です。
こうした日々の努力や志望校の分析を行うためには、以下のようなスキルを身に付ける必要があります。
- 自分で決めたルールを守る力(自律性)
- 課題を見つけて分析する力(課題発見・分析力)
- 目的から考えて行動する力(目的思考力)
- 見通しを持ち計画を立てる力(計画力)
医学部合格を目指すためには、単に学力を伸ばすだけでなく、その土台となる「非認知能力」を身に付けることが非常に大切です。
学力の伸び悩みの背景には、「自分で決めたルールを守る力(自律性)」や「目的から考えて行動する力(目的思考力)」といった非認知能力の不足が関係していることが多いです。
しかしながら、非認知能力に着目した学習指導ができる塾や先生は少なく、適切な指導が受けられないために「頑張っているのになかなか成績が上がらない…」と困っている受験生の方も多くいらっしゃいます。
医学部専門個別指導MEDICAL DIGでは、この非認知能力に着目することで、学力の伸び悩みの問題を解決し、多くの受験生の方を医学部合格へと導いてきました。
学力が伸び悩んでいる方や、いろいろな医学部専門塾を試したけれど結果につながらないという方は、ぜひ一度MEDICAL DIGの非認知能力に基づく学習指導をお試しください。
また、MEDICAL DIGの授業や面談はすべてオンラインで承っています。
全国各地からご利用いただけるほか、お近くに医学部専門塾が無くお困りの方、今通っている塾や予備校と並行して活用したい方など、様々なニーズにお応えすることが可能です。
初回の授業と面談・非認知能力診断は無料ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
志望校合格を目指して、一緒に頑張りましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。